「まにわ対話カフェカード」の説明書
01. このカードについて
このトランプは、地域で、学校で、職場で、家庭で、気軽に対話を楽しみたい、楽しんでほしいという想いから生まれました。それぞれのカードには、年齢や立場のちがいを超えて語り合えるお題がひとつ書かれています。 正解は決まっていない。でも答えはいろいろありそう。そんなお題について遊びながら語り合ううちに、相手の意外な一面が見えたり、自分でも気づいていなかった自分の価値観に気づいたり、さまざまな感じ方や考え方があることを実感したりできるかもしれません。 合言葉は、「ごちゃまぜの対話をしよう」。他の人とちがっても大丈夫。もともと世界は、ごちゃまぜでできています。ぜひ、はじめて会う人との交流や身近な人との対話のタネにご活用ください。 てつがくやさん 松川えり

02. 対話のマナー
① うまく話せなくてもいい 大切なことを話すときは、だれでもたどたどしくなるものです。
② パスしてもいい 無理せず、他の人の話をききたいときはきくのもありです
③ まとめなくてもいい まとめると見えなくなるちがいも。どこにちがいがあるのか確認してみよう。
④ モヤモヤもヒントに 気になるのは、大事なことが隠れているから。そこを掘れば発見が。
⑤ 押しつけは NG 共感や同意が得られなくても大丈夫。理解し合うことはできます。
03. カードのしくみ
① 数字について 1~3 は、子どもも一緒に楽しみやすいテーマです。J・Q・K は、経験を重ねるほど深く味わえるテーマが多く含まれます。
② マークについて マークごとに、自己・他者・社会・自然の視点からテーマを考えます。ジョーカーは、対話のヒント。

04. カードの使い方
カードの使い方は自由です。使い方・遊び方をどんどん開発していってください。ここでは、遊び方のヒントを少しだけご紹介します。
【運任せで選ぶ】 その1:ぱぱっと決める(短時間で決めたいとき) カードをよく切り裏返しにした状態で、誕生日が一番近い人に1枚引いてもらい、対話する。
その2:スートで絞って投票(教室や学びの場で) ① ♠♡♦♣のなかから、みんなで考えたいテーマのスートを1つ選ぶ。 ② 同じスートの 13 枚から、ひとり1枚選び、順番に話してみたい理由を話す。 ③ 自分が選んだもの以外のどれがいいか投票。 ④ 一番票が多かったものについて対話する。
【聞きたことを聞く】 ① 他の人に聞いてみたいテーマが書かれたカードを、ひとり1枚選ぶ。 ② 選んだカードについて、両隣の人に質問する。 ③ 両隣の人の話をきいて、気づいたことをシェアする。 ④ ②~③を全員分繰り返す。
【ダウト(座布団)】 ① 出し方:プレイヤーは「A」から順に「2、3…K」と宣言しながら、カードを裏向きで中央に出します。 ② 嘘:宣言通りのカードがなくても、嘘をついて別のカードを出せます。 ③ ダウト:他の人が「嘘だ!」と思ったら「ダウト」と叫びます。 ④ ペナルティ:嘘なら出した人が、本当なら叫んだ人が場の全カードを引き取ります。カードのテーマについて 1 分トーク。
【7並べ】 場に出された「7」を起点に、同じマークの数字を順番につなげていくゲームです。 ① 準備:各マークの「7」を中央に並べてスタート。 ② 進行:自分の番に、場の隣り合う数字(6 や 8 など)を持っていれば出せます。ただし、出すためには、そのカードの問いに答える必要があります。出せるカードが複数枚ある場合は、どれか1つの問いに答えることで、複数枚いっぺんに出すことができます。 ③ パス:出せる札がない(または戦略的に出さない)場合は「パス」。 ④ 勝利:手札を最も早くなくした人の勝ち!

【神経衰弱】 伏せられたカードの中から同じ数字のペアを探し出すゲームです。 ① 準備:すべてのカードを裏向きに並べます。 ② 進行:自分の番にカードを 2 枚めくり、数字が同じなら、もう一度続けてめくれます。ペアが揃ったカードのうちどれか1つの問いに答えると、揃ったカードを獲得できます。(たくさんペアを揃えると、好きな問いを選べる確率が高まります。) ③ 交代:数字が違った場合は裏に戻し、次の人の番になります。 ④ 勝利:場のカードがなくなった時点で、最も多くのペアを持っていた人の勝ちです。
【1 日 1 枚】 朝1枚カードをひき、その日一日考えてみる。または、テーマに関連することをしてみる。
【お散歩のお供に】 1枚カードを引き、そのテーマに関連するスポット(アイテムや風景)を探しながら散歩する。スポットが見つかったら写真を撮り、そこを選んだ理由を考えながら歩く。
05. どうやって対話を終えるの?
カードに書かれたお題は、どれも話そうと思えば永遠に話せるテーマばかり。哲学者たちが何千年もかけて議論しつづけているものもあります。お題を選んで話すときは、あらかじめ、終了時間を決めておくとよいでしょう。 「哲学カフェ」のスタイルなら、1つのお題につき2時間ほど。学校の授業時間に合わせて 50 分、朝礼の 10 分だけといった設定もありです。 時間がきたらそのままあっさり終わるのもよし。それじゃ物足りないという場合は、たとえば、こんな終わりかたもおすすめです。
●あまり話さなかった人に感想をきく ●対話で見つかった共通点・相違点を確認する ●対話で出てきた新たな疑問を確認する ●今日のハイライトシーンを選ぶ
06. 答えにくい問いが出た時は?
問いにはいつも答えで返さなければならない、ということはありません。疑問や思い出したこと、答えにくい理由などなんでもありです。 それでも「なにも出てこない!」ということもあるでしょう。そんなときは、カードのイラストがヒントになるかもしれません。カードの中の人は、何をしていますか? それを見て、どんなことを思い出しましたか? また、他の人に助けを求めるのもありです。対話はいつでも助け合い。となりの人にきいてみるのもよし、代打を募集するのもよし。他の人が代わりに答えてくれたら、それをきいて気づいたことを話してお返ししましょう。
07. 対話にこまったら
対話のなかで、「これでいいのかな?」と不安になったり、どこまで話すか迷ったりすることもあるでしょう。過去の話し合いがトラウマで、対話が苦手という人もいるかもしれません。 そういうときは、ジョーカーの助けを借りてみてはいかがでしょう? 2枚のジョーカーには、コミュニケーションについて一緒に話したり考えたりするためのお題が書かれています。それをヒントに、コミュニケーションって難しいと思う理由や、話すかどうか迷うのはどんなときかを他の人と共有してみましょう。 すると「他の人も迷うことがあるんだ」「難しいと思っていたのは、自分だけじゃないんだ」と不安が和らぎ、対話することが楽しくなってきたりしますよ。

08. おわりに
このカードは、多様な自然と多様な人々が暮らす岡山県真庭市で生まれました。ある年、共生社会について考えるための市民会議を開いた真庭の人たち。共生についての考えも様々です。 全 8 回も「会議」という名の対話を重ね、たどり着いた結論は、なんと「”共生社会”なんて言葉がいらなくなるぐらい、地域のあちこちで対話しちゃおう!」というもの。こうして、月に1回、真庭市内のあちこちで「対話カフェ」が開かれるようになりました。 さらに、「対話カフェがない日も、気軽に対話を楽しみたい」「進行役がいなくても、対話をはじめられるツールがあれば」ということで、対話カフェに集まった人たちと、「対話のタネ」を集めることに。みんなが地域や身近な人と話してみたいテーマを出し合い、年代や立場のちがいを超えて話し合えるように練りあげました。 そこに、各地で哲学カフェを実践してきたわたしがおすすめのテーマを足してできたのが、このカードです。
多様性は、理想ではなく現実です。「ふつう」や「あたりまえ」が通じなくて、なんだかちょっぴりめんどくさい。でも、「ごちゃまぜの対話をしよう」という合言葉からは、「そのめんどくささも含めて、楽しんじゃおう!」という真庭の人たちの柔軟さと、「ちがいがあっても、バラバラにはしたくない」というあたたかさが伝わってきます。 ひとつひとつのちがいや個性を大切にしようとするその姿勢は、私が続けてきた哲学カフェと共通のもの。様々な声に耳を傾け、自分とは異なる考え方を知ることで、見える世界は何倍にも広がります。
耳を傾け、地域の財産にできるかどうかは、みなさん次第。

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